ミラリア®

ミラリアプロジェクトリポート

PROJECT REPORT 01

(2022年3月28日公開)

セコムとAGCが共同開発する「バーチャル警備システム」。
開発に携わったセコム株式会社 企画部長谷川様にお話を伺いました。

⽇本初の警備保障会社として創業し、センサーなどの技術活⽤により警備の省⼒化を実現したオンライン・セキュリティの開発で、警備サービス業界をリードするセコム株式会社。そのセコムが、AGCを含めた⽇本の⼤⼿企業とタッグを組み、2022年に実用化した、世界初※のAI搭載「バーチャル警備システム」とはどのようなものなのか。オープンイノベーションを推進するセコムご担当者と、プロジェクト参画企業としてミラリアを提供したAGCのメンバーに話を聞いた。

  • ※2019年4⽉現在(セコム調べ)

セコム様が求める“実在感”を実現するためには、
⼤型サイズであると同時に、
⾼度な光学設計技術が鍵でした
(AGC・中村)

まずは「バーチャル警備システム」について教えていただけますか。

SECOM(以下、S)⻑⾕川:バーチャル警備システムは、警備需要が⾼まるなか就労⼈⼝の減少にともなう⼈⼿不⾜やコスト増、警備員配置の効率化といった課題を解決するために、さまざまな最新技術を掛け合わせて具現化したバーチャルキャラクターによる常駐警備サービスです。セコムでは、⼈間の警備員が周囲を警戒監視することで、ここでは悪いことができないぞと知らせる役割を「⾒せる警備」と呼んでいるのですが、バーチャル警備システムは、この⽴哨と受付業務の⼀部を担うため、機械や⼈形ではなく、⼈間が⾒ているぞ!という“実在感”をミラリアによって実現することが不可⽋でした。

AGC(以下、A)中村:セコム様が求める“実在感”に達するには、⼤型サイズであると同時に、⾼度な光学設計技術が鍵でした。⼤型サイズのガラスは、建築⽤の資材としてAGCが扱い慣れている領域ですが、バーチャル警備員をリアルに投影する技術は、まさにAGCの得意とする光学設計の領域で、そこにはディスプレイ⽤ガラス事業などで培った⾼度な設計技術が役⽴っています。まだ実証実験の段階ですが、そうしたAGCの技術を結集したミラリアだったから、セコム様のオーダーにも対応できたのだと思います。

バーチャル警備システム 使用イメージ1

バーチャル警備システム 使用イメージ2

バーチャル警備システム 使用イメージ3


バーチャル警備システム

世界初のAIを搭載したバーチャルキャラクター「バーチャル警備員」が、常駐警備サービスを提供するセキュリティシステム。常駐警備員が提供していた警戒監視、受付などの業務を担うことが可能で、「バーチャル警備員」が捉えた映像や周辺状況はモニタリングダッシュボードを通じてリモートで確認することができる。必要時のみ常駐警備員が対応することで、効率的な⼈員配置、運⽤コストの低減を実現する。2022年1月に発売を開始した。
(2022年3月28日公開時点)


映画のような3Dホログラムの警備員が登場する。
そのコンセプトをミラリアなら実現できるかもしれない
(セコム・⻑⾕川)

「バーチャル警備システム」の開発パートナーにAGCを選ばれた理由を教えてください。

S・⻑⾕川:有⼈警備の仕組みを進化させたいという意識は、かなり以前から持っていました。ただ、それを実現するための⼿段が⾒当たらないなか、防犯⽤窓ガラスの「SECOMあんしんガラス」の取り組みでお付き合いのあったAGC様からご紹介いただいたのが、ミラリアでした。ちょうどバーチャルキャラクターを警備に活⽤できないかという想いを抱えていたので、ミラリアを使えばバーチャル警備システムを実現できるかもしれない。映画に登場するような3Dホログラムの警備員は難しくても、そのコンセプトを実現することはできる。そんなふうに思いました。

AGC(以下、A)後藤:当時はまだミラリアという名前はなく、核となる技術が完成した頃です。通常、ミラーという素材は、光の反射と透過がトレードオフになるのが基本的な考え⽅なのですが、ミラリアに使⽤している特殊なミラーは反射性能と透過性能の両⽅を最⼤限に引き出し、鏡の反射像も美しく、画像や映像の投影鮮明性にも優れています。
私たちもミクスト・リアリティ(複合現実)に使えるという考えはありましたが、ミラリアが警備システムになるという発想は、なかなかAGCからは出てこないアイデアでしたね。

A・中村:AGCにはミラーやガラスに関する技術やノウハウだけでなく、アニメーションをリアルに⾒せるプログラムや解析の技術も豊富にあります。ミラリアでは、その技術を使い、私たちの技術をわかりやすく伝える⽅法としてバーチャルキャラクターを作成していました。 そうした取り組みをセコム様にご覧いただき、それが今回のバーチャル警備システムの構想とマッチした。まさにオープンイノベーションの成果だと思います。

AGCは⼤型サイズのものを製造するのが本業。
品質を担保しながら⼤きいガラスを扱う技術も⻑けています
(AGC・後藤)

ディスプレイではなく、ディスプレイ⼀体型ミラーを選ばれた理由は何だったのでしょうか?

S・⻑⾕川:3Dホログラムのバーチャル警備システムを実現することは現在の技術では簡単ではありません。実現できたとしても⼤規模な装置に加え、コストもかかります。それに対し、ディスプレイ⼀体型ミラーは、はるかに⼩さなサイズで実現ができます。また警備員としての役割を果たすためには、本当に存在しているという“実在感”が⾮常に重要です。⾊々と試した結果、デジタルサイネージのようなディスプレイは像が平⾯的で、“実在感”に⽋けると感じました。それに⽐べて、ディスプレイ⼀体型ミラーは、周辺環境が映りこむことで、あたかもキャラクターが実在しているかのように⾒えるのです。これが、ミラリアを使った最⼤の理由です。

A・後藤:セコム様が求める“実在感”を叶えるためには、ミラーのサイズは重要な要素でした。AGCの建築部⾨は、⼤型サイズのものを製造するのが本業です。⼤きいガラスを扱う技術に⻑けていますので、そこはポイントかもしれません。特に、セコム様のバーチャル警備システムに採⽤していただいたミラリアは品質を担保した等⾝⼤の⼤型サイズとなっています。

そこに警備員がいると感じさせてくれる
ミラリアの“実在感”。
その技術は、本当に素晴らしいものだと思います
(セコム・⻑⾕川)

ミラリアならではの魅⼒について教えてください。

S・⻑⾕川:やはり⼀番は、ミラリアの“実在感”です。警備はリアルなサービスですので、警備を⾏う場所に来られた⽅に、「そこに警備員がいるな」と感じてもらうことが重要です。ただ、その場所に警備員のポスターが貼ってあっても、意味を成すことはできません。あたかも本物の警備員がいると体感させてくれるミラリアの技術は、本当に素晴らしいものだと思います。

A・中村:“実在感”は、最初から最後までセコム様がこだわりになられていた点だったので、納得いただけるチューニングを⾏うのは、やりがいのある経験でした。

A・後藤:パラメーターがたくさんあり、1つ変えるだけでバランスが変わってくるので、そこのチューニングは本当に難しいところでしたね。

S・⻑⾕川:AGC様をはじめプロジェクト参画企業の皆様のご協力のもと試験運用と開発を繰り返し、2022年1月に発売することができました。開発中のコロナウイルスの感染拡大を受けて、バーチャル警備員がマスクを着用したパターンを作成したほか、サーマルカメラと連携する機能も追加しています。多くのお客様にバーチャル警備システムを導入いただき、生産性の向上に役立てていただけるよう、その魅力をアピールしていきたいと思います。