防音

建築物における開口部、特に開閉機構を持つ部分はその構造上、音が出入りしやすい部位となり得ます。開口部の遮音性(防音性)を高めることは、建物全体の遮音性能を高めるうえで大きな効果があります。

遮音のメカニズムについて

JISで規定されたA特性による測定値を騒音レベルと呼び、dBの単位で表されます。

図/代表的な騒音レベル
  • 図/代表的な騒音レベル

騒音などの入射音のエネルギーは、物質による反射音や吸収音のエネルギーによって損失し、残った透過音のエネルギーが内部に侵入してきます。遮音のメカニズムは、この透過音のエネルギーを小さくすることにあります。音響透過損失は、次式によって算出される物質の遮音性能値であり、この値が大きいほど遮音性能が優れていることを意味します。

音響透過損失(TL)=10 log10(入射音のエネルギー/透過音のエネルギー) [単位dB]

図/遮音のメカニズム
  • 図/遮音のメカニズム

開口部ガラスの遮音性を高める

緻密で均一な材料からできている壁体の透過損失は、その壁体の単位面積あたりの重量と音の周波数の積の対数にほぼ比例します。すなわち単位面積当たりの質量が大きい材料ほど、遮音性能がよいと言えます。
この質量則に対し、特定の周波数帯域でそれより遮音性能が落ちる現象があります。1つはガラスのような均質単板に励起される屈曲波と入射波との共振により起こるコインシデンス効果、もう1つは複層ガラスのような二重構造の場合に単板ガラスどうしが中空部分の空気をバネとして共鳴するために起こる低音域共鳴透過現象の2つです。開口部ガラスの遮音性を高めるには、これらの現象を抑制することが効果的です。

  • 防音合わせガラス
  • 防音複層ガラス
  • 2重窓(内窓)

防音合わせガラス

<ラミシャット>は合わせガラスの中間膜に防音特殊フィルムを用い、コインシデンス効果の現れる特定周波数帯域の性能低下を防ぐことができる防音合わせガラスです。
呼び厚さ6ミリの<ラミシャット30>はガラス単体でT-2等級相当を、呼び厚さ8ミリの<ラミシャット35>はガラス単体でT-3等級相当をクリアする遮音効果を実現します。
同厚の単板ガラスでは、コインシデンス効果により最も遮音性の低い周波数であるコインシデンス限界周波数(fc)での落ち込みが顕著で、FL6で2000Hz、FL8で1500Hzで遮音性が著しく低下します。<ラミシャット>はコインシデンス効果による遮音性能の落ち込みを解消することができます。

ラミシャット断面図

ラミシャットグラフ

防音複層ガラス

<マイミュート>は、中空層に低音域共鳴透過現象を防止する防音構造「レゾネーター」を搭載した防音複層ガラスです。
ガラス単体で「T-3等級相当」の防音性能を達成できるガラスです。断熱性が必要な部位の遮音性を高めるために有効です。
同じガラス構成の一般の複層ガラスでは、周波数125Hz~500Hz程度の低音域で低音域共鳴透過現象により遮音性が落ち込みます。<マイミュート>は、低音域共鳴透過現象を抑制し、高い遮音性を得ることができます。

マイミュート断面図

マイミュートグラフ

2重窓(内窓)

<まどまど>は、優れた防音効果を発揮する気密性に優れた内窓ユニット(二重窓)です。
既存のサッシ・ガラスをそのままに、取り付け可能なリフォーム対応の内窓ユニットです。使用する機能ガラスの選択により、防音・断熱性能をレベルアップすることができ、また防犯性を付加することも可能です。
既存の窓ガラスが単板ガラスの場合、<まどまど>を取り付けることにより、すべての周波数帯域で遮音性が飛躍的に向上します。遮音性は、外窓と<まどまど>との間隔をできるだけ大きく取ると効果的です。また、 外窓と内窓のガラスの厚さを変えること(コインシデンス効果の打ち消し合いと低音域共鳴透過の低減)がポイントです。さらに、引き違いなどの可動サッシの場合はわずかな隙間で遮音性が低下する場合がありますが、気密性の高い<まどまど>で二重窓にすることで、窓の遮音性の向上が期待できます。 

まどまど断面図

まどまどグラフ

  • 上記遮音性能はJIS A 1416(実験室における音響透過損失測定方法)に基づき、(財)建材試験センターで測定したデータであり、保証値ではありません。
  • *ラミシャット®35仕様の防音性能は、1/1オクターブバンド帯域においてJIS A 4706(サッシ)の遮音等級線を基に設定したTー5等級相当に該当します。