導入事例

ガラスが変わると暮らしがかわります。
ガラスに求められている機能や性能に関する知識をご提供します。

快適な室内

3.結露-1(原因)

熱・温度・湿度

窓周りの結露は家全体の結露アラームです。

【画像】(図1)

(図1)

結露は部位の表面温度とその空間の気温・湿度に大きく影響されます

結露の始まる温度を「露点温度」と言い、その空間の相対湿度とモノの表面温度との関係で露点温度が決まります(図1)。

         

参考として室内温度、外気温、室内湿度の関係からそれぞれのガラスの結露が始まる点を表にしてみます(表1)。

(表1)

【画像】(表1)

室内気温25℃の場合で、ガラス内側に結露の始まる時の外気温を室内湿度60%と70%で比較してみます。
室内湿度が露点温度に大きな大きな影響を与えることが分かります。
記載した温度は概略おおよその値です。
(参考文献: AGC 板ガラス建材カタログ技術資料編 抜粋)

空気はその温度が高いほど多くの水蒸気を含むことができるため、冬季の暖房によって暖められた室内は湿度が高いことが多く、一方で窓ガラスやサッシは外気の低温の影響を受けて冷やされ、このような低温部位に結露の発生条件が整います。冷たい飲み物のコップの表面が結露することや、寒い屋外から暖かい部屋に入ったとき眼鏡が曇るのも同じです。
集合住宅の窓を外から眺めると、結露している住戸としていない住戸があるのに気付きます。このことから結露の発生はライフスタイルと関係あることが予想できます。高温で水蒸気の発生の多い(または換気量の少ない)家庭の窓は結露も多くなります。

ライフスタイルも結露の発生に影響します。
まず生活側の原因から考えてみましょう。

比較的高湿度の生活の原因としては、浴室や炊事時の換気が不足していること、FF方式でない石油やガスによる暖房(燃焼時に大量の水蒸気が発生する)、観葉植物や大きな水槽など趣味的なことに起因するもの、加湿器の過剰な使用などがあります(図2)。
人間も水蒸気の発散があるため結露の原因になります。子供たちが大きくなるにつれ結露が少なくなり、独立して家を出て夫婦だけになったらほとんど結露しなくなった、というような事例もありました。子供は大人より蒸散量が多いのでしょう。

【画像】(図2)

(図2)

生活の中ではいろいろな場所から水蒸気が発生しています。

常時人のいない冷たい部屋でも結露が発生することがあります。その非暖房室結露とは?

【画像】(図3)

(図3)

水蒸気は隙間を通って他の部屋にも広がっていきます。

暖房している居間やキッチンは一般的に高湿度ですが、暖房により壁などの表面も温度が上がっているため日中の結露の発生はほとんどありません。一方常時暖房しておらず人のいない納戸などでは水蒸気の発生原因が少ないにもかかわらず結露が発生することがあります。これは空気中の水蒸気(湿度)も温度と同じように高い方から低い方に移動して平均化しようとして、居間で発生した水蒸気がその他の部屋に回り込むのです(図3)。ドアや壁で仕切られていてもわずかな隙間を水蒸気は通り抜けます。その結果、暖房がなく一般的に温度の低い、いわゆる「非暖房室」では温度の低い部位ができやすい上に、居室の湿度が流れ込んで、暖房している部屋よりも結露が発生しやすくなります。

怖いのは壁の内部など、見えない場所での結露です。

さらに最も気をつけなければならないのは外壁の内部で起きる壁体内結露です。
窓ガラスの結露は目に見えますが、内部結露は長期にわたり気付きにくく、気付いた時には蓄積した結露の弊害で壁内の木材が腐朽していることになります。
壁体内結露は室内の水蒸気が壁の内側に入り込み、断熱材の隙間など冷たいところに結露する現象です。これを防止するには壁内部に水蒸気が入り込まない施工方法の採用や、内壁表面や断熱材に吸放湿性のある材料を採用することなどがありますが、いずれにしても壁内に入ってしまった水蒸気をできるだけ早く外気に放散することが必要になります。窓やほかの部位の具体的な結露対策を次章で考えてみましょう。

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