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ガラスとは?

21. ガラスが割れる時 -3  熱割れ

強度

衝撃や風でのガラスの破損についてNo.18、19で触れましたが、ここでは素材の特性としてのガラスの破損を考えてみます。まずガラスが熱で割れる現象から。

熱によるガラスの割れ

ガラス器に熱湯を注ぐと割れますが、同様に板ガラスにも「熱割れ」という現象があって、窓ガラスが日射などの作用で割れる場合があります(図1)。
これらの割れる原因は熱そのものではなく、一個あるいは一枚のガラスの中に生じる熱の不均衡、すなわちガラス内に発生する熱応力によるものなのです。
ガラス製品は高熱で原料を溶解し、成型して緩やかに常温まで冷やすこと(徐冷)で製造されます。この徐冷過程でも製品の中の温度ムラが限界を超えると割れてしまいます。

【画像】(図1)

(図1)

窓ガラスの熱割れ

施工された窓ガラスでみると、熱割れは厳冬期の午前中に、東南向きの窓に多いのです。低温環境で冷えたガラスに直射日光が当たり、ガラス温度が急激に上昇すると、サッシに隠れた周囲部分の温度上昇が遅れ、一枚のガラスの中に温度の不均衡が生じます。
高温部分は膨張しようとしますが、冷えている周辺部分がそれを拘束し、結果としてサッシに隠れた周辺部分に引張応力が発生し、ガラス周囲のどこか弱い部分から破壊が始まるのです(図2)。
温度が上った部分は放熱し均衡を保とうとしますが、例えば窓ガラス内側に厚手のカーテンが接していたり、濃色のフィルムが貼られていたりすると放熱が上手くいかず、ガラスの温度上昇が加速され周囲との温度差が大きくなります。また部分的に日影があり、その部分の温度上昇が遅れることで均衡が崩れることもあります。

【画像】(図2)

(図2)

ガラス内に発生する応力と割れ方

板ガラスの熱割れは、主にエッジにある傷など応力が集中する部分から始まり、必ず辺に直角に始まることが特徴です

【画像】(写真1)

(写真 1)網入り板ガラスの熱割れ

撮影写真:©木下純

ガラスの中に大きな温度差ができないこと

一般的な透明板ガラスでは一枚の中に生じる温度差60℃程度で割れる(5ミリ厚の場合)という実験結果がありますから、熱割れを回避するためにはこの温度差が急激に発現しないようにすることが必要です。
ガラスの温度上昇は日射熱ばかりでなく、室内の暖房機による場合もあるため、暖房機の熱風が直接窓ガラスに当たらないような注意も必要です。
熱割れのリスクはガラスの種類によって異なります。熱線反射ガラスや熱線吸収板ガラスなど、日射によって温度が上昇しやすい(日射吸収率の高い)ガラスは高リスクです。このため機能ガラスを使うビルのガラスカーテンウォールなどでは、使用環境やガラス種別、大きさなどに基づいて事前に「熱割れ検討」が行われます。
なお強化ガラスは熱応力に対する強度も高く、日射熱で割れることはありません。

熱割れを避ける施工

施工上ではガラスエッジがコンクリートや周辺金物などの影響を受けず良好に断熱されていることと、エッジに「傷」がないことが大事な要素です。
一般的なサッシではグレイジングチャンネルやシールなどでガラスとのクリアランスが確保されているので、エッジ断熱の点をあまり考慮する必要はありませんが、ガラスが金属やコンクリートなど冷たいものに直接接していると、ガラスの温度上昇が妨げられて低温状態が長く続き、日射で暖まった部分との温度差が大きくなってしまいます。特殊な納まりの場合の注意事項といえるでしょう。
エッジの傷に関しては、ガラスを切断する際にきれいに切断すること。これを「クリーンカット」と言いガラス切断時のノウハウとされていますが、エッジに傷や欠けがあると、そこから割れが始まる起点、すなわち熱割れ上の弱点になってしまいます。
その点で網入板ガラスや線入板ガラスは切断面に欠けが残ることが避けられず(写真 2)、熱割れのリスクが増してしまうのです。

【画像】(写真2)

(写真 2)

網入板ガラス6.8ミリ厚の切断面

サンプル写真は切断後にエッジに粗摺りの処理をしていますが、網の先端部分に欠けが残っています。
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