平成28年省エネ基準概要
2050年カーボンニュートラル、2030年度温室効果ガス46%削減(2013年度比)の実現に向け、建築物分野の省エネ対策を加速させるため、2022年に建築物省エネ法が改正されました。2025年4月以降に着工する原則全ての住宅・建築物について省エネ基準適合が義務付けられます。これに先立ち2024年4月から、大規模非住宅建築物の省エネ基準が引き上げられました。
建物区分ごとの省エネ基準適合義務の対象表

建築物省エネ法で適用される基準には、①建築物エネルギー消費性能基準(以下、省エネ基準と称す)、②誘導基準、
③住宅事業建築主基準、の3つがあります。①の省エネ基準は、対象建築物に適合を義務付けている最低限度の基準です。
②の誘導基準は、省エネ基準よりもより高い性能を求める基準で、それに適合すれば優遇措置も受けることができます。
③の住宅事業建築主基準、誘導基準よりもさらに省エネ性能が高く、住宅トップランナー制度で用いられます。
適用基準 | 住宅 | 非住宅住宅 | |
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①省エネ基準 (エネルギー消費性能基準) |
一次エネルギー消費量基準 | BEI≦1.0 | BEI≦0.75 (工場など) |
BEI≦0.8 (事務所、学校、ホテル、百貨店など) |
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BEI≦0.85 (病院、飲食店、集会所など) |
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外皮基準 | 外皮平均熱貫流率(UA値) ≦地域の区分に応じた基準値 平均日射熱取得率(ηAC値) ≦地域の区分に応じた基準値 |
適用除外 | |
②誘導基準 | 一次エネルギー消費量基準 | BEI≦0.8 | BEI≦0.6 (事務所、学校、工場など) |
BEI≦0.7 (ホテル、百貨店、病院、飲食店、集会所など) |
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外皮基準 | 外皮平均熱貫流率(UA値) ≦地域の区分に応じた基準値 平均日射熱取得率(ηAC値) ≦地域の区分に応じた基準値 |
PAL*≦用途と地域の区分に応じた基準値 | |
③住宅事業建築主基準 | 一次エネルギー消費量基準 | BEI≦0.85 (建売戸建住宅、目標年度:令和2年度) |
(住宅のみ) |
BEI≦0.8 (注文戸建住宅、目標年度:令和6年度) |
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BEI≦0.9 (賃貸アパート、目標年度:令和6年度) |
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外皮基準 | 強化外皮基準(ZEH基準) |

省エネ基準適合に当たっては、住宅の場合は外皮性能基準と一次エネルギー消費量基準、非住宅の場合は一次エネルギー消費量基準に、それぞれ適合する必要があります。
外皮性能基準では、建築物の断熱性能と遮熱性能の各指標値を地域区分別に規定されている基準値以下とすることが必要です。
一次エネルギー消費量基準では、対象となる設備機器等における一次エネルギー消費量が一定の値以下となることが求められます。
窓の熱貫流率・日射熱取得率の算定方法について
建築物省エネ法において、窓の熱性能の評価については、建築研究所のWEBサイト「平成28年省エネルギー基準に準拠したエネルギー消費性能の評価に関する技術資料」等において、評価する方法(ルート)は4つのルートが認められております。
ルート1の定められた性能値を用いて窓の熱性能値を求める方法は、熱貫流率については「第三節 熱貫流率及び線熱貫流率」、日射熱取得率については「第四節 日射熱取得率」に記載されています。
項目 | 窓の熱貫流率Uw | 窓の日射熱取得率ηw |
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ルート1 建具の仕様、ガラスの仕様に基づく 性能値 |
建築研究所の技術情報※1 に記載のUw-Ugの簡易計算式に、技術情報※1 記載のUgを入力する方法 | 建築研究所の技術情報※1 に記載のガラスのηgに、建具(枠)仕様毎の係数を乗じてηwを計算する方法 |
ルート2 建具の仕様、ガラスの性能値に基づく 性能値 |
建築研究所の技術情報※1に記載のUw-Ugの簡易計算式に、ガラスメーカーのカタログ等のUgを入力する方法 | ガラスメーカーのカタログ等に記載のηgに、建具(枠)仕様毎の係数を乗じてηwを計算する方法 |
ルート3 代表試験体の窓種類・サイズでのJIS等に基づく 測定値または計算値 |
JIS A 2102による計算方法 (WindEye※2 による計算)、 又はJIS A 4710に基づく測定。 |
JIS A 2103による計算方法 (WindEye※2 による計算)、 又はJIS A 1493に基づく測定。 |
ルート4 実際の窓の種類・サイズでのJIS等に基づく 計算値 |
JIS A 2102による計算方法 (WindEye※2 による計算) |
JIS A 2103による計算方法 (WindEye※2 による計算) |
※1 国立研究開発法人建築研究所 平成28年省エネルギー基準に準拠したエネルギー消費性能の評価に関する技術情報
※2 一般社団法人 リビングアメニティ協会が運用する窓の総合熱性能評価プログラム
次に、窓の熱貫流率・日射熱取得率の算定方法の<ルート1>、<ルート2>について紹介します。
なお、<ルート3>、<ルート4>は各サッシメーカーにおけるサッシ+ガラスの窓としての測定値、計算値の算定方法になりますので、性能値、詳細はサッシメーカーにご確認ください。
記載内容に関するお問い合わせはこちら
住宅・建築物の 省エネルギー基準について |
低炭素建築物 認定制度制度について |
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国土交通省 改正省エネルギー法関連情報 (住宅・建築物関係) |
国土交通省 低炭素建築物認定制度関連情報 |