導入事例

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快適な室内

9.音−2(伝わる音をブロックする)

静かな室内を作る上で悩ましい音の問題。ここでは音そのものの伝わり方から、効果的な防音の方法を材料の点も含め考えてみます。

音の伝播

音はその性質から「波」や「振動」とイメージされます。音の発生源があって、それがさまざまな方法で伝わっていきますが、大別すると固体を伝わっていく「固体伝播音」と空気振動として伝わっていく「空気伝播音」があります(図1)。

【画像】(図1)

(図1)固体伝播音と空気伝播音

固体伝播音

固体伝播とは固体物質中を音が伝わることで、例えばコンクリートの床に硬いものを落としたときなど、衝撃音として離れたところで聞こえる音です。一般的に物質の比重(密度)が大きな硬いものほど途中の減衰が少なく遠くまで届きます。
子供の頃遊んだ糸電話は糸を媒体とする固体伝播ですが、糸が途中で何かに引っかかったりたるみがあったりすると、そこで音(振動エネルギー)が吸収されて先に伝わりません(図2)。

【画像】(図2)

(図2)糸電話の音伝達

固体伝播を止めるには、伝達の途中にこのように振動エネルギーを吸収する「緩衝材」が効果を発揮しますが、コンクリート造の集合住宅等ではコンクリート躯体が連続しているため固体伝播音を途中で吸収することが難しく、床表面にカーペットを敷いたり、クッション材で裏打ちされたフローリング材を使うなど音の発生源での対策が必要になります。

空気伝播音

空気伝播は、空気を媒体として音源から立体的な波のように振動が拡がっていきます。空気の振動は、例えば壁パネルのような遮蔽物があっても、それが空気の振動を受けて二次的に振動すれば、音は反対側に抜けていきます。また遮蔽物に隙間があればそこから音はダイレクトに漏れていきます(図3)。
静かな室内を作るためには二次振動を起こしにくい堅固な床・壁・天井(屋根)で気密性を高めることに尽きます。つまり①<重い(自重の大きな)材料>を、②<必要な厚さ>で、③<隙間なく使う>ことです(図4)。
しかし、実際には換気扇などの開口をはじめ開閉できる扉や窓など、音が侵入してくる隙間が避けられないため、これらの部分の気密性の確保に特に留意することになります。

【画像】(図3)

(図3)

音は遮蔽物の二次振動や隙間が原因で漏れていきます。

【画像】(図4)

(図4)遮音の3原則

重い材料を、必要な厚さで、隙間なく使うこと

遮音を材料から考える

【画像】(表1)

(表1)主な建築材料の比重

身近な建築材料の比重を(表1)に挙げておきます。それぞれの材料には使用上で適した厚さがあります。選択できる範囲でできるだけ厚いものを使うのが、空気伝播音の特に低音域の遮音上から効果的です。
透明材には板ガラスのほかにアクリルやポリカーボネートがありますが、比重は板ガラスが最も大きく、透明材料としての遮音性に優れた材料です。そして厚くなるほど先に述べた二次的な振動が発生しにくく、遮音の効果は大きくなります。

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