導入事例

ガラスが変わると暮らしがかわります。
ガラスに求められている機能や性能に関する知識をご提供します。

快適な室内

11.音ー4
(窓防音の具体策)

建物の床・壁・天井(屋根)の防音性能が満たされていても、窓が防音上のウィークポイントになりえます。ここでは窓を構成するサッシとガラスの防音について考えます。

サッシとガラスによる防音性能の構成

サッシとガラスは一体と考えられていますが、一般的には窓部材の供給業者がサッシの障子部分にガラスを組入れて窓パーツとして完成します。
一般的な防音サッシの性能表示はT‐2(30等級=30dB減衰)とされています。さらに性能のよいものはT‐3(35等級=35dB減衰)と表示されます。そこで当然ながらガラスも同グレードのものを使わなくてはサッシと同等性能になりません。単板ガラスと複層ガラスのT等級相当の厚さは表1、表2のとおりですが、表からわかるように、一般的な複層ガラスとしての3ミリ厚や5ミリ厚のそれぞれ同厚2枚の構成ではT-2等級相当の性能を満たせません。これは音-3で解説した「共鳴透過」現象があるからです。

【画像】(表1)

(表1)主なガラスのT-2等級相当厚さ

単位=ミリ。Aは空気層厚さ。6.8は網入り板ガラス。オクターブバンド周波数によるデータ。表1、表2とも板硝子協会およびAGC測定によるデータ(*印)より抜粋。

【画像】(表2)

(表2)主なガラスのT-3等級相当厚さ

また、T-3等級相当のガラスに関しては一般的な開閉できる木造住宅用サッシでは現実的に当該ガラス厚に対応するサッシがなく、そのままでは住宅用窓としての実現は難しいのです。

内窓の有効性

では住宅用途の開閉窓でT-2以上の防音性能を満たすにはどうしたらよいのでしょうか。 ズバリ「内窓」の設置が有効です。(表3)をご覧ください。一般的には二重窓といわれるもので、外壁に設置される窓サッシの室内側にもう一つのサッシを設けるものです(図1)。
外壁のサッシには雨仕舞を要求されますが、内窓にその機能は必要なく、施工も簡単で、既存建築にも施工できます。しかも二重窓は窓開口部の断熱性能も格段に向上するもので、すぐれた複合機能をもつ窓部品といえます。

【画像】(表3)

(表3)二重窓の防音性能

二重窓の構成部分の左の数字は室外側ガラス厚。Aは内外ガラス間の距離。二重窓の構成部分の右の数値は室内側ガラス厚または複層ガラスの構成。

【画像】(図1)

(図1)二重窓の構造イメージ

しかしベランダなどに出入りする床までの掃き出し窓にはダブルの開閉が面倒だったり、内窓部分が若干室内側にくるなどマイナス面もないとはいえません。
二重窓の防音性能値は表3に示す通りですが、構成によってT-4相当もクリアする性能を実現します。基本的に外窓と内窓の間隔(空気層)が大きいほど効果も大きくなることが分かります。
以上から、窓の防音対策は次の3点となります。
・サッシの防音性能を良いものに(T-2以上)
・ガラスはサッシ性能をカバーし、かつ可能な範囲でできるだけ厚いものを。
・二重窓は防音の切り札。
次項(音-5)では二重窓防音の原理と効果を詳しく述べます。

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