Javascript is disabled.
ガラスが変わると暮らしがかわります。 ガラスに求められている機能や性能に関する知識をご提供します。
快適な室内
防音と似た言葉に「消音」があります。これは主に産業機械などで発生する音対策に使われる言葉で、音源の周波数帯域や消音方法などに様々なノウハウがある大きな専門領域ですが、この「音エネルギーを弱める」方法のひとつに拡張型消音があります。簡単に言うと音エネルギーの進路上に拡張部分を設けるもので、狭いところを通ってきた音を拡張空間に開放することによって音エネルギーを弱め、出ていくときには小さな音になっている、という方法です(図1)。
(図1)拡張型消音器のイメージ
拡張空間内で反射や干渉(共鳴)などが起き音エネルギーが減衰する。
拡張空間では反射や干渉、場合によっては吸収が起こるため音エネルギーが薄まり、出てくる音はかなり減衰するのです。この方法で消音する身近なものとしては車の排気系統にあるマフラーと呼ばれる消音器や、海外アクションドラマに登場する、銃口に装着するサイレンサーなどがあります(図2)。消音器は排気や弾丸は通しながら音のエネルギーだけを瞬間的に弱めるという不思議なパーツです。
(図2)車のマフラーと銃の消音器の構造イメージ
車のマフラー:2本の穴あきパイプを拡張空間の中に密閉する。銃の消音器:弾丸の通る穴の周囲に多数の拡張空間を構成する。
録音スタジオなど完全な防音を求める場合は、厚いガラスを用いた二重~三重のFIX窓で躯体との隙間をなくしたうえで重いガラスそのもので空気振動としての伝播音を防ぎますが、引き違い窓など開閉できる窓は、閉じた時にも構造上微細な隙間が生じることが避けられず、そこから音が侵入します。サッシを二重にすると、音は外窓と内窓の間の空間で拡張しエネルギーが減衰し、それが外窓だけのサッシに比べ、透過損失(「音-1」を参照)の大きな窓になります。(二重窓の防音性能は「音-4」の表3を参照してください。)換気扇は空気の通り道が必要ですが、防音型換気扇にもこの拡張型消音原理を応用したものがあり、室内外どちらに音源があってもその伝達途中で消音効果を発揮します。
さらに二重窓の場合の内外のサッシの間、すなわち拡張空間の内側に吸音材を施工すると防音性能が向上します。両サッシ間は基本的に4方を枠で囲まれていますが、底辺は窓台や床框なので、一般的に柔らかい吸音材を施工することはできません。そこで下辺以外の3方の枠の内側に吸音材を張ると、拡張空間に入った音エネルギーがその吸音材に吸収されてさらにエネルギーが減衰します(図3)。吸音材は、主に天井に用いられる岩綿吸音板貼りが施工的には手軽です。
(図3)
内外サッシの間の空間への吸音材の施工
ただしこれは窓周りのデザインにも関わることなので、楽器の練習や工作室など文字通りの防音室に利用する施工方法になるでしょう。「音-4」で二重窓はT-4(40dB以上相当)性能をクリアすることも可能と述べましたが、拡張空間としてのサッシ間隔をできるだけ大きく取り(100㎜以上)、ガラスは内外とも可能な範囲で厚いものを、内窓部品のサッシも重く頑丈なものを選定し、正確に施工することが必要です。また、音-2で述べた「固体伝播音」は二重窓でも防げないためまずブロックしたい音の伝播の種類を確認することが必要です。
既存窓を高機能な二重窓にできる多彩な窓種に対応した内窓商品。まどまどは、窓の断熱性を改善し、防音性を高め、快適な室内空間を実現します。
複層ガラスの中空層に、低音域共鳴透過現象を防止する防音構造「レゾネーター」を搭載した防音性に優れた複層ガラスです。