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ガラスが変わると暮らしがかわります。 ガラスに求められている機能や性能に関する知識をご提供します。
快適な室内
まず紫外線の基本事項ですが、赤外線(IR)が可視光線の赤の外側で熱的な性質を持つのに対し、紫外線(UV)は紫のすぐ外側にあり当たったものに化学的な作用を及ぼします。太陽光線の中では正確には近紫外線と呼ばれる部分で、その波長域は200〜380㎚(ナノメートル)とされ、人体や環境への化学的影響の点からUV-A、UV-B、UV-Cと波長によって3区分されています。紫外線は地球に注ぐ太陽光の6%(*)に過ぎませんが、光のエネルギー(生体に対する化学的な影響度)はC>B>Aと可視光から離れるに従い強くなります。(*日本皮膚科学会資料による)この3区分を人体に対する影響の点から(図1)で簡単に解説します。
(図1)紫外線、可視光線の位置関係のイメージ
図1ではおもに悪影響を述べましたが、地上に到達する紫外線のほとんどはUV-Aで、植物の生育には必要な光とも言われます。人体にとっても適度な紫外線は殺菌作用や体内でのビタミンDの生成、代謝の促進など好ましい影響も忘れてはなりません。しかしたんぱく質を変性させるなどの有害性は、特に美容の点で過度な日焼けは避けるのが望ましいとされるようになりました。
板ガラスカタログ上の数値を調べると、3ミリ厚の透明板ガラスは紫外線透過率74.3%と、ある程度の遮蔽性能を持っていることがわかります。板ガラスは厚くなるほど紫外線の透過率が低くなり、ガラスの自動ドアなどに使われる12ミリ厚では54.3%まで低下します。(AGCのカタログに記載される紫外線透過率はISO 9050で定義される波長域300~380nmを測定しています)このように、一枚の透明板ガラス(単板)では遮蔽に限界がありますが、ガラスには紫外線を通さない加工の切り札があります。「合わせガラス」です。「快適な室内13」でその構造を詳しく述べましたが、2枚のガラスの間にあるPVBという樹脂フィルムとガラスとの相乗効果でガラス本来の透過度を保ったままで紫外線の透過をほぼ0%までカットします。合わせガラスは安全ガラスであると同時に紫外線カットも行う複合機能ガラスなのです。このほかの代表的な建築用ガラスの紫外線透過率を(図2)に示します。
(図2)
主な建築用板ガラスの紫外線透過率
車の中は狭い空間でガラスとの距離も近く太陽光の影響を避けられないところです。フロントガラスには安全の点から合わせガラスが義務付けられていて、前述のとおりこれは紫外線カット性能を持っていますが、ドアガラスやリアウインドウのガラスにも高機能化が進んでいます。紫外線対策はもちろんのこと、日射による室内の温度上昇を抑える「遮熱性能(赤外線域のカット)」や、若干の色を付けることによってプライバシーを守る「視線制御」などのシールド性能を複合した多機能ガラスが登場しています。
透明建材にはガラスのほかにアクリルやポリカ―ボネートがあります。これらは一般的に紫外線遮蔽性能はガラスに勝るのですが、窓材料としては使われません。「たわむ」「傷がつきやすい」というほかに、有機材料のため耐候性に弱点があります。このおもな原因は、長期間の紫外線暴露によって生じる組成の脆弱化です。特に材料の黄変、表面の細かなひび割れによる透明度の低下や強度低下が問題になります。ガラスは組成に炭素を含まない無機材料のため、紫外線による経年変化がなく、表面硬度も高い透明材料のため、建築など寿命の長い用途にはほかに代わるもののない材料といえるのです。
防災安全合わせガラスを装着したLow-E複層ガラス。サンバランスシェルターは、省エネ効果と防災安全性を兼ね備えた理想的な窓ガラスです。
クールベールは、合わせガラスの持つ防犯性/安全性/紫外線カット機能に加え、日射による皮膚のジリジリ感を和らげる赤外線( I R )カット機能を持っているガラスです。