ガラスが変わると暮らしがかわります。
ガラスに求められている機能や性能に関する知識をご提供します。
ガラスとは?
以前輸入テーブルなどのガラストップやキャビネットのガラス扉が、モノをぶつけたりしないのに割れ、大きなクレームになったことがありました。
ペットの仕業と疑われたこともあったようですが、気が付くと強化ガラス特有の細かな破片が散らばって原型をとどめない状態になっているという事故でした(写真1)。
自然破壊のリスクは強化ガラスの一般的な性質として、またそれに対する安全対策も含め、知っておく必要があります。
ここでいう強化ガラスは、家具や建材、車両に使われる、いわゆる熱強化ガラス(物理強化ガラスとも言う)ものです。スマートフォンのガラスは組成や強化の方法が異なり自然に割れることはありません。
念のためですが、以下に述べることは強化ガラスの特質のひとつで、少なくとも国産の強化ガラスは、後で述べる手段により、出荷時点で自然破壊の問題はほとんど回避されています。

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(写真1) |
輸入品強化ガラステーブルの自然破壊事故 |
| 破片は細かい粒状の塊で脱落している。 |
強化ガラスはクラックが入ったり部分的に割れるということがなく、割れる時は比較的大きな音とともに全体が一瞬にして破壊します。何もしない状態で、と述べましたが実際には環境の温度変化や板ガラスのわずかな動きなどが誘因になります。
この自然破壊の原因は、元になる板ガラス製造工程でごくまれに内部に存在する不純物(NiS=硫化ニッケル)です。強化ガラスは板ガラス内部に圧縮と引張り応力層を生成させ、そのバランスで強度を確保しているのですが、引張応力層にある不純物が体積増加してガラス内部に微細な傷が発生し、これが破壊の原因になります。
強化処理をしない一般の透明板ガラスは内部に応力層が生成されていないため自然破壊のリスクはありません。
また強化ガラスの表面やエッジにある傷も同様で、これらの傷が成長してガラス内部の応力バランスを崩した時、破壊に至るのです(図1)。

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(図1) |
強化ガラスの自然破壊のイメージ |
| 不純物の体積膨張や傷が原因になる。 |
自然破壊のリスクは外観上の検査では発見できないため、国産の6ミリ厚以上の強化ガラスは全てヒートソーク処理という過程を経て出荷されています。
ヒートソーク処理とは、厚みによって異なりますが出荷前の強化ガラスに約300℃の熱をある時間加えて経過を見る処置です。潜在的なリスクをもつ強化ガラスはここでほとんど破壊してしまいます。破壊したものは再製作され、再び同処理を経て出荷されます。
一方、商品の外的な傷には出荷時に厳しいチェックが行われます。しかし出荷後の傷は施工時や使用上で注意する必要があります。ガラスにできた傷は進行する可能性があり、それが破壊の原因になるからです。
このことから、強化ガラスは万一の破壊を考え強化合わせガラスとして使うか、少なくとも飛散防止フィルムを併用するのが安全な使用方法と言えるでしょう。