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【季刊レジャーホテル】株式会社KOGA設計 古賀志雄美

デザイン性だけでなくメンテナンス性のよさがガラスの魅力

見せ方しだいで新しいイメージをつくることができる

――レジャーホテルの設計・デザインを手がけるうえでガラス素材の魅力はどこにあるのでしょうか。

古賀  実は1980年代に手がけたホテルでは、カラーガラスを内装材としてよく活用していました。当時は「ビトロカラー」 の質感や奥行きのある色合いなどから素材としての新鮮なイメージがあったことに加えて、耐久性も十分にあり非常にメンテナンス性が優れていたこともその理由です。
また、外装用のカラーガラスを内装に活用したこともあります。ビトロカラーよりも光沢の少ないマット調の色合いもデザイン的に魅力がありました。現在、よく木の突き板(天然木などの木材を薄くスライスしたもの)を内装材に使いますが、そうした感覚でガラス素材を活用していました。

――現在、カラーガラスはファッションブランドのショップをはじめ、オフィスや医療機関などさまざまな分野の施設で活用されています。

古賀  そうですね。タイルと異なり目地のない大きな面積(最大で2,250×3,210mm)で使用できるので壁材として活用したり、あるいは部分的なポイントとしてさまざまな活用がされています。現在は製品の精度、加工の精度が上がっていますから、以前と比べてより自由な表現が可能になっています。

――具体的には。

古賀  以前は精度の問題があり、目地などに違う素材を入れて処理したり、素材を留める金物もごついものしかなく、デザインのうえで制限がありました。現在は金物の種類も豊富ですし、施工や加工の精度が上がっていますのでシャープな表現が可能で、従来とは違った雰囲気をつくることができます。

――現代のレジャーホテルにマッチした新しい表現も可能だということですね。

古賀  そうです。壁面のポイントとして活用するのも面白いでしょうね。モダンなデザインの空間に合うのではないでしょうか。

トレンドだけでなくデザイン性と事業性を兼ね備えた空間の構築が求められる

――デザインされるうえで、色や素材の質感にインスパイアされることもあるのでしょうか。

古賀  ひとつのポイントにはなります。レジャーホテルの場合、空間そのものが商品ですからコンセプトを決めるうえで時代背景や地域性などさまざまな要素を考慮しなくてはいけません。長期にわたって運営することや利用者層が若者からシニアまで幅広いことを考えると、あまりトレンドにシフトすることも避けなければいけない。また、効率的なオペレーションを考えればメンテナンス性や耐久性も重要なポイントになります。
デザイン性や癒し、居心地のよさといった空間としてクオリティだけでなく、コストや事業収支など経営的な視点を併せ持ったトータールな空間構築のできる材料が求められます。

――その意味では、メンテナンス性に優れたカラーガラスはレジャーホテルの内装材として高い可能性を秘めていますね。

古賀  耐久性やメンテナンス性はもちろん、デザイン性についても面白い素材だと思います。カラーガラスの色味を前面にだしていくのか、あるいは存在感を消しつつガラスのよさを使ってクリアなイメージを醸成するのが、見せ方で大きく印象が変わってきます。
照明のあて方などでも見え方がずいぶん変わるでしょうし、エッチングやマット加工で表情をつけることもできます。あるいは光の壁のような見せ方もできますね。いまはメンテナンス性・耐久性に優れたLED照明のバリエーションが増えています。以前は色温度が限られていましたので使いにくいところがありましたが、色調や形もさまざまな種類があり、ガラスと組み合わせてかなり面白い演出ができるのではないでしょうか。

古賀 志雄美(こが しおみ)

Profile

(株)KOGA設計代表取締役。
1974年10月、事務所設立。1979年11月、(有)古賀設計設立。1985年5月、(株)KOGA設計に組織変更。レジャーホテル業界を中心に多彩な設計デザインを担当し、“長期的な安定売上げを実現させる”繁盛ホテルを数多くつくり出している。

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