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【オフィス事例】GREE, Inc. 稲石 和宏

どこまでも純白にこだわった
IT企業のプレゼンテーションスペース

わずか数分で企業理念を伝えるスクリーン

携帯ゲームを中心とするソーシャルネットワーキングサービス(SNS)「GREE」を展開するIT 企業「グリー株式会社」の本社オフィスです。

空間デザインの要となったのは、企業姿勢や風土を来訪者に短時間で明快に伝えることを目的とする、約300m2の贅沢な待合室です。「シンプル」「クリーン」「ニュートラル」といったイメージを想起させる真っ白な大空間の壁一面には、幅8.2m ×高さ2.4m(46 インチモニター32 面)のマルチスクリーンが設えられ、そこには、棒グラフ、円グラフなどをベースに美しくグラフィック処理された地域ごとの会員数をリアルタイムで示す数種類の映像コンテンツが映し出されます。

来訪者は、担当者が迎えに来るわずか数分の間この空間に身を置くことで、コンテンツ創造企業であるこの会社の理念とリアルな社会とのつながりを肌で感じ、窓際に設けられたガラス張りのミーティングルームへと歩を進めていくことになるのです。何もない真っ白な空間がインターネット内の世界、そこに浮かび上がる映像や人の動きが事業内容の象徴と言ったところでしょうか。

映像コンテンツを反射するカラーガラスのツヤ感

言うまでもなくこの空間の主役は映像コンテンツですが、それをより印象的に見せるために、背景となる空間のクオリティー感の創出に最も心を砕きましたね。メインのスクリーンがいかに素晴らしくても、それを支える環境がチープでは主役を引き立たせることはできませんから。

そこで、床にタイル、壁にカラーガラス、天井にアルミニウムと高質な素材を複数組み合わせて、真っ白な中にも複雑な表情をつくることにしました。また、壁のカラーガラス、床のタイルにツヤ感のある製品を選ぶことで、マルチモニターに映し出される色が空間全体に反映するように考えました。刻々と移り変わる映像コンテンツを反射してピンクやブルーやイエローにほのかに染めあげられる空間。こうした主従の関係性こそがインターネット業界を席巻する企業の顔となる空間にふさわしいのではないかと考えたのです。

純白のカラーガラスが不可欠だった

カラーガラスは、ガラス自体の厚みによってもたらせられる複雑な表情に魅力を感じ、以前から高質感の創出やコーポレートカラーの表現などに使ってきました。今回は純白のカラーガラス「ラコベル」を採用したわけですが、これが登場する前の、白であって白でないような、少しガラスの色が入ったホワイトも独特な味わいがあってとても好きな色味のひとつです。

しかしながら、今回はニュートラルで真っ白な空間ということが大前提だったので、純白のカラーガラスの存在は不可欠でした。その意味で「ラコベル」の存在は大きかったですね。それ以前は、ガラスならではの均質なツヤ感をあきらめて他の素材を選ぶしかなかったわけですから。

今後は、反射性だけではなくガラスならではの透過性を活かしたカラーガラスの登場に期待したいと思っています。透明から不透明へのグラデーションを自由にコントロールできるものや、マットからツヤへのグラデーションを任意に設定できるものが登場すれば、空間デザインの可能性はまた大きく広がるのではないでしょうか。

【使用ガラス】

ラコベル』 ピュアホワイト

稲石 和宏(いないし・かずひろ)

Profile

1976年生まれ。1999年名古屋造型芸術大学卒業後、2008年リンクプレイス入社。現在、デザインチームリーダー。ニューオフィス奨励賞を受賞。

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