合わせガラス(防災ガラス、防犯ガラス)
板ガラスは、その材料・組成・製造条件などの制約によって、実現できる色や性能が限られてしまいますが、特殊フィルムをはさんで合わせガラスにすることで、その機能、デザインの可能性は格段に広がります。
得られる機能として、防災安全性や防犯性能があります。
防災安全性で求められるのは、台風・暴風による飛来物や、地震時の衝突物が貫通しにくい耐貫通性、ガラス破片の飛散を抑制する機能・性能が求められます。
防犯性で求められるのは、破壊時に大きな音が出る、貫通孔を開けるのに時間がかかるなどの性能で、これらは侵入時の抑止力になります。
防犯性能比較 バール打撃テスト
合わせガラス(防災ガラス、防犯ガラス) 注目商品
台風や地震、空き巣など侵入に常時備える窓ガラス
防災安全性と省エネ、防犯性能を実現する窓ガラス
防犯性能を高めた合わせガラス
防犯仕様のLow-E複層ガラス
外観意匠性とプライバシー性を両立
学び空間の快適性と防災安全性を両立する窓ガラス
高機能で防音性に優れるリフォーム用二重窓(内窓)
合わせガラスとは
合わせガラスは、2枚のガラスの間に特殊フィルムを挟み込んだ構造で、衝撃物に対する耐貫通性に優れ、特殊フィルムとガラスとの強固な接着によりガラスの飛散防止性を有します。
特殊フィルムの厚さをコントロールしたり、機能付与したフィルムを採用することによって、さまざまな機能を付与でき、意匠性なども高めることができます。
合わせガラスは、間に挟む特殊フィルムの厚さを厚くすることで、さまざまな機能が追加されます。
特殊フィルムの厚さ | 飛散防止性能 | 防犯性能 | 防災性能 |
---|---|---|---|
15mil (約0.4ミリ) | 〇 | × | × |
30mil (約0.75ミリ) | 〇 | 〇 | × |
60mil (約1.5ミリ) | 〇 | 〇 | 〇 |
90mil (約2.25ミリ) | 〇 | 〇 | 〇 |
120mil (約3ミリ) | 〇 | 〇 | 〇 |
- ・mil(ミル)とは、特殊フィルムの 厚さを表す単位です。1mil (ミル)=0.001インチ=約0.0254mm
- ・平成以降の自動車のフロントガラスには、30milの合わせガラスが標準装備されています。
- ・特殊フィルムは、中間膜と呼ぶことがあります。
1.ガラスの防犯性
防犯ガラスの防犯性について
開口部の防犯、特に窓ガラスの防犯対策は、安心・安全な暮らしには欠かすことができません。
侵入犯の犯罪対象は、住宅や業務・商業施設など多岐にわたります。
特に開口部は侵入口としてよく狙われる部位であるため、開口部の鍵や構造による防犯対策、シャッター等による対策と併せ、ガラスそのものにも防犯性が必要です。
侵入犯に最も狙われやすい侵入口は「窓」です。(戸建住宅の場合)
- 参考:警察庁『住まいる防犯110番』「手口で見る侵入犯罪の脅威」
https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki26/theme_a/a_d_1.html
侵入犯への聞き取りによると、5分以内に侵入できない開口部や、破壊時に大きな音が出ることなどが、防犯効果を生むことがわかります。
ガラスを破るとき、
どんなことに注意しますか?
約45%の侵入犯は、
音を立てずに
侵入しようとします。
侵入するのにどのくらいの時間が掛かれば、
侵入をあきらめますか?
約70%の侵入犯は、
侵入するのに約5分以上かかると
あきらめます。
- 出典:『JUSLIリポート No.12 侵入盗の実態に関する調査報告書(4) ー住宅対象侵入盗発生実態編ー』
(財)都市防犯研センター,平成9年
侵入犯に入られにくい窓ガラスとは
防犯の基本は、侵入犯に嫌われる窓ガラスです。空き巣狙いなどの侵入犯が何より恐れているのが、人の目です。
<破壊するとき大きな音が出る><侵入するのに時間がかかる>
このようなことを嫌うのも、人の目が気になるからです。
ガラスの場合は、破壊時に大きな音がしたり、貫通孔を開けるのに時間がかかるようにすることが有効ですので、防犯性能を有する特殊フィルムを用いた合わせガラスを用います。フロート板ガラス、網入板ガラス、強化ガラスには、防犯性は期待できません。
防犯ガラスに求められる基準には、次にあげる2つがあります。
防犯性能の高い建物部品目録
警視庁や国土交通省、経済産業省、民間団体などで構成された「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」で定めた建物部品別の防犯試験に関する細則に基き、防犯性能の高い建物部品を商品ごとに認定しています。
窓ガラスの場合は、ガラスを破る主な手口である「こじ破り」「打ち破り」「焼き破り」3つの方法すべてに対し、決められた条件をクリアしたガラスをさします。
防犯性能の高い建物部品目録には、約7割の侵入犯が侵入をあきらめるとされる「5分」に耐えることを基準とした侵入手口に応じた防犯性能試験を実施し、これをクリアしたドア、ガラス、錠、サッシなどの建物部品が掲載されています。
防犯性能試験をクリアしていることを示すため、本目録に掲載された防犯性能の高い建物部品には、図のようなCPマークを表示することができます。これは、「防犯(Crime Prevention)」の頭文字をデザインしたものです。
なお、防犯合わせガラスが窓として防犯性能を発揮するには、ガラスの施工・使用に関する板硝子協会基準を満足する必要があります。
協会基準では、本目録に掲載されたサッシの使用推奨、サッシのかかりしろ、補助錠の必要個数などが定められています。
ガラスの防犯性能に関する板硝子協会基準
ガラスの防犯性能に応じてグレード分けした基準です。こじ破り(P1K~P3K)と打ち破り(P1A~P5A)を対象としており、P2以上かつP2K以上の基準を満たすものを上記2つの対象手口に対して防犯性能が期待できるガラスとしています。
AGCの防犯ガラスに該当するものは、ラミセーフシェルター、ラミセーフセキュリティー、クールベールなどがあります。
2.ガラスの防災安全性
近年、毎年のように「数十年に一度」と言われる大型台風が発生し、強風や洪水による甚大な被害が起きています。また、地震大国と呼ばれる日本では、いつどこで大地震が発生するか分かりません。
安全・安心な暮らしを実現するためには、こうした災害に備え、窓ガラスの防災安全性を高めることが重要です。
窓ガラスに防災対策が施されていないと、台風などの自然災害時に甚大な被害に繋がってしまう可能性があります。
窓ガラスの防災安全性を確保するためには、次の4つの機能が求められます。
- ①耐貫通性
台風・暴風による飛来物や、地震時の衝突物が貫通しにくい - ② ガラス飛散防止
強力な特殊フィルムの接着力で、ガラス破片の飛散を抑制できる - ③ ガラスが窓枠から抜け落ちにくい
被災後も、継続して部屋を使用できる - ④ “常時”防災安全性を発揮
いつどこで発生するかわからない自然災害に対する常時の備え
これら4つの機能を有する合わせガラスタイプのラミセーフシェルター、合わせ複層ガラスタイプのサンバランスシェルターなどを防災安全性を有するガラス製品を準備しております。
3.ガラスの防音性
緻密で均一な材料からできている壁体の透過損失は、その壁体の単位面積あたりの重量と音の周波数の積の対数にほぼ比例します。すなわち単位面積当たりの質量が大きい材料ほど、遮音性能がよいと言えます。
この質量則に対し、特定の周波数帯域でそれより遮音性能が落ちる現象があります。ガラスのような均質単板に励起される屈曲波と入射波との共振により起こるコインシデンス効果があり、開口部ガラスの遮音性を高めるには、この現象を抑制することが効果的です。

ラミシャットは合わせガラスの中間膜に防音特殊フィルムを用い、コインシデンス効果の現れる特定周波数帯域の性能低下を防ぐことができる防音合わせガラスです。
呼び厚さ6ミリの「ラミシャット30」はガラス単体でT-2等級相当を、呼び厚さ8ミリの「ラミシャット35」はガラス単体でT-3等級相当をクリアする遮音効果を実現します。
同厚の単板ガラスでは、コインシデンス効果により最も遮音性の低い周波数であるコインシデンス限界周波数(fc)での落ち込みが顕著で、FL6で2000Hz、FL8で1500Hzで遮音性が著しく低下します。ラミシャットはコインシデンス効果による遮音性能の落ち込みを解消することができます。

4.ガラスの視線制御/意匠性
ベランダ手摺り用ガラスラミスカイは、サンルックスTを合わせガラスにしたマンションなどの手摺りに使われるガラスです。建物の外観アクセントとなる反射性と、室内のプライバシー性を確保する視線制御を両立します。
カラーラミセーフ、ラミトーンは、着色した特殊フィルムを合わせガラス加工した視線を制御できるガラスです。カラーラミセーフは外装使い可能、ラミトーンは内装用ガラスです。