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ガラスが変わると暮らしがかわります。 ガラスに求められている機能や性能に関する知識をご提供します。
安心・安全
ガラス面にかかる風圧は何かがぶつかる部分的な衝撃力と違って、ガラス一枚にほぼ均等にかかる圧力といえます。(図1)当然ですがガラスカーテンウォールや窓ガラスは想定される風圧では割れない設計になっています。この設計をガラスの「耐風圧設計」と言い、平成12年建設省告示に示された基準により設計されます。建物の構造計算では建物全体にかかる風圧を「風荷重」と呼びますが、ガラスの耐風圧設計では建物の大きさや周囲環境、建物種類、風に対する形態上の特徴、ガラスのある地上高さ、支持方法などに加え、後述する立地場所の基準風速をもとに各ガラス種類や厚さごとに決められている許容荷重をこえないようにガラス1枚の大きさが使用最大面積以内になるよう設計されます。例えば単純計算ですが、基準風速34mの東京都23区にある戸建て住宅を想定した場合、5ミリ厚の単板ガラス(許容荷重3375N)で、ガラスの使用場所を地上6m(2階部分相当)とすると2.28㎡が使用可能最大面積になります。
(図1)ガラスにかかる風圧
風速と風圧は大いに関係があることは言うまでもありません。風速とは風によって空気が1秒間に移動する距離をメートルで表したもの(図2)。気象台(測候所)での風速の計測は、建物などに影響されないひらけた場所の地上10mで計測されます。天気予報の「風速」はある時間帯の10分間の平均風速。「最大風速」はその10分間のうちの最大値。また台風時の「最大瞬間風速」は計測中や予測される場面で瞬間的に発生する風速(3秒間の平均風速)で、最大風速の1.5~3倍になることもあると言われます。風圧は風速によって外壁やガラスなどが受ける1㎡あたりの力で単位は「N(ニュートン)/㎡」で表します。しかし受ける風圧は建物の形状や場所、風上・風下などによって異なります。設計上で基準になる風速(基準風速)は、過去50年のデータから日本各地に定められていて(国土交通省建告1454号)それによると例えば島部を除く関東地方は32~38m(沿岸部など場所によって異なる。)、沖縄地方は46mとされています。ちなみに、高速道路を時速100kmで走行中の車が受ける風圧は風速28mくらいに相当します。
(図2)風速: 空気が1秒間に移動する距離(m)
前述のように、板ガラスにかかる風圧が許容応力内ならばガラスは割れません。ごく簡単に言えば、窓が風圧に耐える要素はガラス板厚(厚いほど強い)と一枚の面積(小さいほど強い)、それとガラスの支持方法です。標準的な住宅の窓の場合、ガラスの4辺はサッシに嵌め込んで保持されているので板厚と面積が安全性に関係すると言ってよいでしょう。そして通常は最大風速時でもガラスが破損しない設計がなされています。想定外、と言って良いのかどうかはわかりませんが、最大風速の3倍にも達する最大瞬間風速に繰り返し襲われた場合はガラスは割れることがあります。どこか一カ所の窓ガラスが破壊されると、その風圧で天井や屋根を室内側から破壊する可能性があります。窓が破壊されたら反対側にある窓を開けるとよい、という話を聞いたことがありますが、ガラスを破壊するほどの風圧はものすごいもので、とてもそんな余裕があるとは思えません。参考までに、過去に日本で観測された大きな風速の例(富士山頂を除く)を(表1)に記載しておきます。
(表1)日本で観測された大きな風速の例
強風時には飛来物による衝撃破壊が風圧による破壊より前に発生することが多いです。衝撃による破壊は「ガラスが割れる時-1」で述べましたが、いずれにしてもガラス破損時の破片の飛散は、特に避難場所となる建物には考慮すべき事項です。合わせガラスが推奨される理由がここにありますが、このような建物のガラスには中間膜の厚い仕様の合わせガラスで飛散防止と耐貫通性能を確保することが望ましいと言えます。ちなみに5ミリ厚透明板ガラスの許容荷重と3ミリガラス2枚による合わせガラスの許容荷重は同じ3375Nであり、二次被害を最小限にとどめる点で、今後風害が増えると予想されることからも合わせガラスを採用するメリットは大きい、というより必須ではないかと思います。
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