安全

人がガラスに気づかず衝突してしまったり、転倒してガラスにぶつかってしまった場合、ガラスが割れる可能性があります。
割れたガラスの破片によってケガにつながるおそれがありますので、ガラスを用いた開口部や浴室などのガラスなどで、人体が衝突するおそれのある部位では、安全性能に優れたガラスの使用が望まれます。

ガラスを用いた開口部の安全設計指針について

人がぶつかる可能性の高い部位に使用するガラスは、「安全・安心ガラス設計施工指針 増補版」(一般財団法人 日本建築防災協会))の「ガラスを用いた開口部の安全設計指針」にガイドラインが示されています。

安全性に優れたガラス

割れても安全なガラス(安全ガラス)として認められているガラス品種は、「合わせガラス」と「強化ガラス」です。人体衝撃に対する試験方法は、JIS R 3205 合わせガラスおよび JIS R 3206 強化ガラスに規定され、45kgのショットバッグ試験が定められています。

  • 合わせガラス
  • 強化ガラス

合わせガラス

合わせガラス断面図

合わせガラスは、2枚のガラスの間に特殊フィルムを挟み込んだ構造で、衝撃物に対する耐貫通性に優れ、特殊フィルムとガラスとの強固な接着によりガラスの飛散防止性を有します。
合わせガラスは、衝撃によって割れたとき、ほとんどの破片が中間膜に接着したままになるため、接触した人体を傷つける可能性が小さい製品です。また、耐貫通性に優れており、JIS R 3205では、合わせガラスはショットバッグ試験の落下高さによってその性能が区分されています。なお、中間の特殊フィルムを厚くすることで、耐貫通性もより大きくなります。
最近では、防災安全意識の高まりから、台風や暴風による衝撃物がガラスにぶつかっても、貫通しにくく、割れても飛散しにくい合わせガラスに、より注目が集まっています。

ガラスの割れ方の違い

ショットバック試験後のガラスの割れ方

強化ガラス

強化ガラスは板ガラスを加熱急冷し、ガラスの表面に、引張り応力に対抗する圧縮応力層を形成したガラスです。この圧縮応力層が存在するため、普通のフロート板ガラスに比べて強度が高く、割れにくくなっています。
強化ガラスは、割れないガラスではありませんが、大きな衝撃等により万一割れても破片は細かい粒状になり、大きな傷害事故を減少させます。

ガラスの割れ方の違い

ショットバック試験後のガラスの割れ方